2012年8月19日日曜日

旅程編 5 第5日 ブライトホルン登頂

第5日

  ツェルマット → マッターホルン・グレッシャーパラダイス
  マッターホルン・グレッシャーパラダイス ~ ブライトホルン往復(登山)
  マッターホルン・グレッシャーパラダイス  → ツェルマット(泊)

 =  鉄道
≒  登山鉄道・ケーブルカー
-  バス
→  ゴンドラ・ロープウェイ
~  歩き(ハイキング)


Climb Every Mountain!

 映画「Sound of Music」の中でこの歌が歌われるのは、ジュリー・アンドリュース扮する主人公をはげまし鼓舞する場面ですが、この日はまさにそんな感じ。



 ブライトホルン登頂の朝。この日は朝から快晴で、町からもマッターホルンがよく見えます。朝8時にマッターホルン・グレッシャーパラダイス3820m行きのゴンドラ乗り場に行くと、たくさんのスキー客が。アルペンセンターの青いジャケットの人に名前を告げると私たちのガイドを紹介してくれました。名前はピーター、フランス語を母語とするのでしょうか?ドイツ系とは背格好や話す英語のアクセントも少し違う気がします。
 一番上までの往復の券を買って一緒に乗り込みます。彼の話によると日本人をガイドすることも多い、ブライトホルンはイージーで1時間半で登れるとのことです。
さてロープウェーは満員だったので私たちは外の景色を十分には見られませんでしたが、氷河越えのかなりスリルと迫力ある中を行きます。かなり料金の高いルートですので、晴れていれば価値あり。遠くモンブランも見ることができます。




 さてマッターホルングレッシャーパラダイスですが、ガイドブックによってはここは単なる展望台のように書いてありますが、ここは本来はスキー場です。夏のこの時期も国境の反対、イタリア側にゲレンデが広がっていて、多くの人がスキーを楽しんでいました。夏スキーといっても日本の小さいゲレンデなら収まってしまうほどの広さです。快晴の天気の中、1日スキーを楽しむというのもいいかもしれません。ここのレストランでトイレを済まし、ハーネスを装着して出発です。




 登山はスキー場のTバーリフト沿いにしばらく歩いて、途中、左手に折れます。ここでハーネスにロープを取り付けて、ピーター、カミさん、私の順番で行くことになりました。ブライトホルンまでのルートには実に多くのパーティーが頂上に向かっているのが見えます。



 最初は広い雪原を10メートル間隔で歩きます。あまり間を詰めるなと一度ガイドに注意を受けました。傾斜がきつくなる地点でクランポンをつけます。クランポンの装着は夕べ練習しておきました。さてここから斜面をジグザグに上がっていくと思ったのですが、ピーターは多くの人が登っているルートではなく、頂上に反対方向から回り込むルートを取りました。なぜかはわかりません。時間短縮になるのか、カミさんの様子を見てそうしたのか???カミさんもクランポンをつけて歩くのは初めてでしたが、特に問題なかったです。ポールを谷側の手に持ち、突き立てて雪面をおしながら一歩ずつ進んでいきました。

 広い山腹をトラバースしながら斜め上に登って行きます。アイゼンが効くので滑るような心配はありませんが、ちょっと歩きづらい。途中ちいさなクレバスがあってピーターがStop!と声をかけ、安全なルートを通ってからGo!。少し緊張しました。
 登りきるとブライトホルン頂上の東の肩につきました。稜線に上がり風景が一気に開けます。ここまでグレッシャーパラダイスを出発してから1時間30分かかっていました。しばし休憩。チョコレートを一口、口がとても乾くので水を何度も含みます。ゴルナーグラートの展望台も、昨日登ったオーバーロートホルンも眼下にあります。ここはすでに4000mはあるでしょう。

モンテローザのミミズクあたま

 頂上は稜線上に見えます。多くの人がいるのでそれとわかります。ピーターは10分で着くといいましたが、実際は15分ぐらいかかったと思います。実はここからがこの登山のハイライトだったのです。ナイフリッジの雪稜歩き。両側が切れ落ちており、やや斜度のゆるい南側を歩きます。踏跡がるので足元は安定しているのですが、カミさんはかなりビビッてました。ピーターにYou OK?と聞かれ、日本語で「がんばります」と答えたものの相手はわからず。何度もOK?と聞かれ、やっとOKと答えます。ここまで来て「私やっぱりここはダメだわ」とは言えないでしょ。何とかガイドについていくしかありません。多少とも登山の経験がものをいったのだと思います。でも風が強かったらどうだったか?


ここはちょっと緊張



 
Summit!

 足元だけを見て歩くこと10分。前方に多くの人がいるいるのが見え、ピーターが止まって「Summit!」と言いました。ついに今回の旅行の最大の目的、4164mのブライトホルン頂上に着きました。頂上は東西に長いものの、北側は切れ落ちており、南側の斜面もかなり斜度があるため、ピッケル無しでは落ちたら止まらないでしょう。あまり安定のいい頂上ではありませんが、しばし雲一つない360度の風景を眺め、写真を撮って下りにはいります。頂上にいたのは5分くらいでしょうか。もちろん腰を下ろす場所と時間はありません。

頂上からのマッターホルン

遠くモンブラン(左)も見えます


 下りは多くの人が登ってくるルートを降りました。アイゼンが効くので滑ることもないし、膝への負担も小さいので大股でどんどん下ります。クランポン初めてのカミさんも「快適、スキーしてるみたい」といってました。やがて斜度が緩くなったところでクランポンをはずし、あとは雪原をサクサクと歩いてグレッシャーパラダイスに帰り着きました。まだ12時前、下りは1時間もかかっていません。食堂でコーヒーを飲んでピーターと別れました。彼は明日から別のパーティーをガイドしてマッターホルンに登るそうです。どうもありがとう!



 私たちは手持ちの食料を口にして、しばしモンブラン方向の風景と異形のマッターホルンを眺めたのち、ツェルマットに戻りました。ちなみに帰りのケーブルカーはスキー客が列をなしており、乗り込むまで45分待ちました。




マッターホルン南壁


モンブラン


 登ってみての感想


 思いのほか息は苦しくなかったです。私もカミさんも高山病の兆候はありませんでした。
私たち同様に慣れていない人はハーネスとクランポンの装着の練習を前日にしておいた方がいいです。耳を覆う毛糸の帽子、サングラス、手袋は必携。それに日焼け止めとリップクリーム。トレッキングポールはあった方がいいです。片手はあけておいた方がいいので、2本より1本がいいと思います。
 温度は風が弱かったせいもあって、上はTシャツ、長袖シャツ、ウインドブレーカーがわりの雨具。下はタイツに夏用スボンで大丈夫でした。薄いダウンを持って行きましたが、ついに着る機会はなかったです。絶好のコンディションだったのでこれで済みましたが、日程が1月前後していたり、日差しがなかったり風が強かったりすればグンと寒くなると思います。
 私たちは高度順化と登りのトレーニングを兼ねて3415mのオーバーロートホルンに前日登りましたが、さらに気になる方はこのマッターホルングレッシャーパラダイスまで前日に上がってきて、スキーでもやってみるといいかも。



 

ツェルマット散策


 下においてからはホテルで少しゆっくりしてツェルマットの町を散策しました。といってもそんなに大きい街ではないのですが。
 
 欧州通貨危機の中でもアジア、特に中国からの観光客は伸び続けているのでしょうか、街中はクレーンが何本も立ち、あっちこっち建設中でした。実際、人はほんとに多かったです。

ホテルのバルコニーから。クレーンがたくさん見えます。
 
協会の前でで何かイベントをやってました

裏道に入ればこんな感じ


でも古い家並みがあちらこちらに残っていて、古いスイスがチラの見えるのもこのツェルマットのいいところなのでしょう。


この日はレストランで祝杯をあげました。

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